相続Q&A
遺産を全くもらえそうにない…
遺留分の保護があります
■最低限度の相続を守る制度
相続には、相続財産によって遺族の生活の安定をはかる面があります。しかし、遺言書や遺産分割協議、または生前の贈与で、「自分に遺産が与えられない」という状態になってしまった時、何も受けとれないことになり、受け取れない遺族の生活が脅かされます。
そこで、民法は、遺留分の制度を設け、最低限の相続を守る制度を定めています。
遺留分を侵害した相続の場合、侵害されている相続人は、自分が侵害されている遺留分の部分を相続から外し、またはその分の支払いを他の相続人に請求できます(遺留分減殺請求権)。ただし、請求期間は、相続開始と返還すべき遺贈・贈与があることを知ったときから1年間(知らなかった場合は相続開始から10年)です。
■遺留分権利者は限定
遺留分は、相続から生活の安定の利益を受けるための制度ですから、 遺留分を主張できる相続人(遺留分権利者)は、配偶者、子(代襲相続人を含む)、および直系尊属(故人の親・祖父母)のみです。
たとえ、兄弟姉妹だけが相続人であって、そのうちの一人が全部相続することになっても、兄弟には遺留分が認められないので、相続しない兄弟姉妹は、相続分はゼロです。
遺留分の割合は、相続人全体で相続財産の2分の1(配偶者・子の場合。直系尊属の場合は3分の1)で、それを法定相続分で分けることになります。